
シュナの旅 (アニメージュ文庫)
『シュナの旅』は、1983年にアニメージュ文庫から出版されました。
著者は宮崎駿さんです。
先日金曜ロードショーで、『もののけ姫』を放送しているときに、ジブリの公式さんが「ヤックルの原点」として紹介していました。
即日ポチりましたね!ヤックルのファンなので!(*´∀`*)
『シュナの旅』のあらすじ

荒廃した谷に小さな王国があった。
シュナは、その王国の王子です。
王国の土地は痩せ、収穫物も少ない。国民はいつも飢えていて、ギリギリの環境で生きています。
ある時、王国の近くで行き倒れていた旅人を見つけました。
旅人を介抱するシュナは、彼から黄金の穂について聞きます。
西の彼方に、黄金の稲穂が波打つ豊かな国があると。
国の未来を憂いたシュナは、その黄金の稲穂を得るため、旅に出ました。
『シュナの旅』のおすすめポイント

全ページフルカラーの美しい絵
『シュナの旅』は、絵本のような作りになっています。
全ページカラーで、宮崎駿さんの水彩画が美しいです!
公式さんも、おっしゃっているように、時間をかけて丁寧に描かれているだけあって、
どのページも大きく引き伸ばして、部屋に飾りたいような仕上がりとなっています。
落ち着いたトーンの、やや憂いを感じさせる絵で、ずっと観ていたくなりました。
ヤックルがでる!
『もののけ姫』のヤックルが好きすぎるスイカです。
『シュナの旅』にもヤックルがでます!
飼い主を選ぶ、誇り高いヤックル…。脚力の強いヤックル!ヤックル!!
最高でした…!(*´∀`*)
あと、ジブリファンならすぐに分かる動物もたくさん出てきます。
ストーリーがとにかく面白い!
映画です。これは!
あとがきには、宮崎駿さんが「地味だから」と書いておられますが、地味じゃありません!
国の未来のため、豊かな穀物を求めて未知なる荒野を旅するシュナはめちゃめちゃかっこいいです。
恐ろしいグールも出てきますし、人が足を踏み入れてはいけない土地もあって、ページをめくる手が止まりません。
『シュナの旅』の感想

シュナがとにかくカッコイイ
「国の未来を憂いて、国民の暮らしのために豊かな穀物を求めて旅に出る」って、もうすでにヒーローですよね。
国の未来のために、危険な旅に出てくれる未来のリーダーなんて、羨ましいですよね。
(ニュースを見て心が疲れている。)
シュナは戦いも強いし、奴隷で売られている少女を助ける紳士でもあります。
そりゃあ、ヤックルも付いていくってものです。惚れる。
人間をだめにするのは、やはり人間
物語の中盤で、豊かな都市がでてきます。
そこでは、シュナが探していたあの、黄金の稲穂の穀物も売られていました。
黄金の稲穂は、脱穀されると土地に植えても育ちません。
都市で売られているのは、脱穀されたものでした。
都市の商人は、奴隷を差し出す代わりに、脱穀された穀物を受け取っています。
稲穂を手に入れれば、自作できるのに。
稲穂の土地に行くのは危険で、奴隷を差し出せば安全に、豊かに暮らせるのだから、それで良いのだと言うのです。
腐ってますよね。でも、己の身の安全と豊かさのために、こんな思考になる人間ってリアルだと思います。
大好きなホラー映画を観つつ、常々思っているのは「人間が一番怖い」ってことですが、ここでも当てはまりました。
人の生活を美しくするのも、穢すのも、人間。
どちらに傾くのかは、ほんの小さなきっかけで決まってしまうんですよね。
神々の土地、みたいなところ怖すぎる
※これ以降はネタバレを含みますので、未読の方はスルーしてくださいね!
シュナがついにたどり着く、黄金の稲穂を有する土地は、神々の土地、みたいな場所でした。
中央に、謎の生きている建造物みたいなものがあり、そこに奴隷が放り込まれます。
やがて緑の大きな人形モンスターがそこから出てきて、黄金の稲穂を育てます。
奴隷ってこのためだったのかー!!(゚∀゚)
と読みつつ、「ギャー!」てなります。さすが、宮崎駿さん。エグい。(褒めてる)
しかも、この土地、かなりのスピードで時間が流れているのです。
一晩稲穂の様子を見ていたシュナの服はボロボロになり、持っていた銃は朽ちてしまいそう。
そうか、時間が早く流れるから、穀物もスピーディーに仕上がって、どんどん出荷できるのね!
(怖い!)
神々の土地に入った代償が大きすぎて怖い
黄金の稲穂をつかみ取り、なんとか神々の土地を脱出するシュナ。
ですが、後に発見されたときには、身なりもボロボロで、言葉も失い、自分が誰かもわからない状態になっていました。
怖い!神々の土地のものを奪った代償すごすぎる!(T_T)
なるほど、こうなりたくないから、都市の商人はあんな事を….
腐ってるとか言ってごめんなさい!でも腐ってるよ!
なるほど、なるほど。そりゃ諦めるね!
シュナの回復と稲の成長に感動のラスト
表紙になっている、テアという少女が、ボロボロのシュナを看病してくれます。
彼女はシュナが持っていた黄金の稲穂にも気づき、一緒に稲を守ってくれました。
稲の成長と、シュナの回復はリンクしていて、嵐から稲を守った翌朝に、シュナが言葉を取り戻したところでは、うるうるとしてしまいました。
大きすぎる代償を払って、やっとシュナの旅が報われようとしている…。
忘れがちですけど、これ、自国の国民のためにやってますからね。
自分のためじゃないんですよ。(号泣)
もちろん(?)黄金の稲穂を、自分を看病してくれた土地にも残し、翌年にシュナは自国に戻る旅にでます。今度は、テアとその妹と、ヤックルとともに。
この、稲をわけて出発するのも、良いですよね。
それでこそ、ジブリのヒーロ!(涙)公共の利益に貢献しちゃう!すごいよシュナ。
もう大好き!
あと、宮崎先生!これのどこが「地味な話」なのですか。
ぜひ映画化してほしいです。(T_T)
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