待ちに待った宮部みゆき先生の三島屋シリーズが刊行されました!
毎年読めるって幸せですね。( ´ ▽ ` )

青瓜不動 三島屋変調百物語九之続
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読書感想文を書きました!
ネタバレなし!ですが、読んだ方ならわかるように
してありますので、ご安心してご覧くださいませ。
『青瓜不動』あらすじと読書感想文
あらすじ
いよいよおちかのお産が迫っている。
三島屋では皆がソワソワと時を待つなか、
おちかとは旧知の行然坊が富次郎を訪れある人の話を聞いて欲しいという。
読書感想文
女性の生き辛さにゾッとしました。
結婚前に子をなしてしまっても地獄。結婚して子ができないと地獄。
嫁を子をなす道具にしか見ていない姑に、子作りはしても嫁に興味も愛情もない夫。
自分から離婚する自由もないなか、洞泉庵のようなお救い場所があったら、
そりゃあ方々から人が集まってくるだろうな、と。
しかし、うりんぼ様の成り立ちについてはよくわかったものの、
うりんぼ様の効能?ご利益?については、ハラハラするものの、よくわからない。
庵ができるまでの話は、辛いけれど、興味深く読めましたが、
うりんぼ様についてのエピがもう少しあっても良いのでは?と思いました。
あと、せっかく(?)のおちかのお産なので、おちかとお知り合いの
人ならぬ存在さん赤裸足の方達に、何か動きがあってもいいのにな、と少し残念でした。
(もちろん、それらから守るためのうりんぼ様と富次郎のアレだとはわかっているのですが。
おちかの結婚の時には少し動きがあったので。。。)
『だんだん人形』あらすじと読書感想文
あらすじ
おちかのお産もすみ、変わり百物語を再開したい富次郎。
口入屋の灯庵老人に次の語り人の紹介をお願いしにいったものの、
無下に断られてしまった。
しかし、兄の伊一郎が「お前に話をしたい人がいる」と語り人を紹介し・・・。
読書感想文
前半の人形が出来上がるまでの謂れが、ショッキングだった。
私は時代劇や時代小説が好きで、よく作中に「悪代官」が出てくるけれど
こんな仕組みであったとは、詳しく知らなかったので大変衝撃でした。
そりゃあ、やり放題ですね。悪代官。
昨日まではのどかな村だったのに、上に染まってしまうのか
役人たちも恐ろしい所業の数々。
そして、悲劇からの後日談に納得がいかないという語り部に対する
富次郎の答えが素晴らしい。貸本屋でおちかの夫の勘一がかつて富次郎に
いった言葉である
「書物は、この世のあるべき証を載せる船みたいなものですよ」
言い伝えられている話とは、単に「本当にあったこと」をまとめたものではなく、
その話を通して、語られる相手に教えを与えたいのでは、というもの。
私は本を読むのも聞くのも好きですが、(オーディブル)楽しむだけでなく
そこにあるメッセージみたいなものを受け取って自分の中で消化するのが大事なのだなと。
自分は受け取れているのかな、とも感じ、少し反省もしました。
あと「だんだん人形」のだんだん、が件の村の方言だとの記載にどきっとしました!
私の住む愛媛県の方言でもあるのです。
もちろんフィクションだとはわかっていますが、え、愛媛ののどかな村でこんな恐ろしいことが?!
と想像してしまいました。
(調べると四国の一部、広島、島根で使われる方言のようで、愛媛の「だんだん」は作中とは少し違う意味の「ありがとう」のような意味でした。なんだ。愛媛ではなさそうですね。)
『自在の筆』あらすじと読書感想文
あらすじ
富次郎がふと立ち寄った知り合いの骨董店。
品物を見せてもらっていると、脂汗まみれの坊主頭の御仁が
焦った様子でやってきて、「あの筆は決して売らないでくれ」と主人と話しているのが
聞こえて・・・。
読書感想文
グロさ?では作中一番ではないでしょうか。
のめり込んでしまう筆の持ち主の心のグロさも、
筆のせいでああなってしまう人達の描写も、なかなかのスプラッターぶりでした。
この話は、富次郎がこの先も話の聞き手として絵を描いていく上で
必要だったのでしょうね。
作中で一番短いお話ですが、パンチがありました。
『針雨の里』あらすじと読書感想文
あらすじ
主人夫妻と番頭の八十助が不在のある日、富次郎はつまらないことで
足を怪我してしまう。黒白の間で沈んでいると、先日は断られた灯庵老人から
語り部を今から紹介するとの伝言が来て・・・。
読書感想文
勘の良い人なら、狭間村の住人たちの描写である程度アレだろうと気づくでしょう。
しかし、この物語の要は語られる内容というよりも(それも面白いけれど!)
それに向き合う富次郎の心の揺れであるようでした。
物語を、受け止められるのか。
受け止めて、どうしようもなく心に突き上げてくる「描きたい」気持ちに
どう向き合うのか。
富次郎は、将来絵師になるのかなと予想してしまいました。
絵師になりたい。しかし、きちんとその願望に向き合う勇気がない。
それが今作中ずっと描かれていました。
ついに、決心した富次郎。
次回が楽しみな最後のお話でした!
毎年読めることに感謝しつつ、次を早く読みたくて仕方ない!

青瓜不動 三島屋変調百物語九之続
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毎年楽しみにしている、三島屋シリーズ。
今年もたっぷりと堪能しました。
おちかと違い、富次郎は、語り部の物語を受け止める覚悟が足りないように感じていたのですが
今回はその部分に焦点が当てられていたように思います。
絵を描きたいという、己の欲望を受け入れ、物語に向き合うことになる富次郎。
次回が楽しみで仕方ありません!
本を読むのも、とってもとっても楽しいですが、
耳で本を聴く「オーディブル」もおすすめです!
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