
昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)
大好きな大好きな、木皿泉さんの初の小説!
2014年の本屋大賞第二位、山本周五郎賞ノミネートの作品です。
大好きなのに、これまで読まなかった事を後悔するほど面白かった…。
『昨日のカレー、明日のパン』のあらすじ
主人公のテツコは、ギフと古い一軒家で暮らしている。
ギフとは義父のこと。夫が七年前に病死し、それからずっと義理の父親と暮らしているのです。
テツコには恋人・岩井さんがいて、テツコと結婚したがっています。
岩井さんや、笑えなくなったCAのお隣に住むタカラ、夫のいとこの虎尾と日常を過ごすテツコ。
日常のちょっとした気付きから、少しずつ、少しずつ夫の死を受け入れていく物語です。
『昨夜のカレー、明日のパン』の感想
読むだけで癒やされる地味な物語
自分のペンネームの由来にもなった、大好きなドラマである『すいか』を書いた木皿さんの初の小説。
なぜ今まで読まなかったのかというと、上記の設定のせいでした。
2014年って、私事ながら、結婚した年でして。
「7年前、25歳で死んでしまった夫」の一文で、もう、「縁起悪いな」って思ってしまったのです。
いや、しかし!読んでよかったです!
率直に言って、本当に面白い作品でした。
地味な設定で、特にスリリングな事件が起こるわけでもない本作。
しかし、ゆっくりと時の経過を噛み締め、夫の死が徐々にテツコのなかに染み渡っていくこの物語は、読むだけで癒やされました。
そう、あの名作『すいか』のように。
嫌な人が出てこない穏やかさ
『すいか』に似ているなと思うのは、根っからの悪人が出てこないところです。
(ギフを騙す悪女っぽい人は出てきますが、それも結局粗悪品をギフに掴ませたわけではなかったですし。)
嫌な人とか、事件とかって、もうニュースや実生活なんかで、お腹いっぱいですよね。
だからなのか、最近そういうギスギスした物語が受け付けなくなっていて…。
胃もたれのような?感じなのです。
だから、木皿作品の穏やかさが、じんわりと優しくて、読んでいて心地よかったです。
「それでいいのよ」と言ってもらっているような気持ち
当たり前なんですが、登場人物それぞれ、悩みを抱えていて。
それに囚われて、動けなくなりそうなところを、ちょっとした事柄から「これでいいんだ」と気づいて、そっと抜け出す…。
ずっとそんな地味な(褒めてる)、穏やかな物語が続きます。
特に自分に当てはまるエピソードがあるわけではないのですが、不思議なことに、「あなたも、それでいいのよ」と言ってもらっているような気持ちになりました。
ここ最近の、コロナやギスギスしたニュースで疲れた方にもお勧めしたい本でした!
『昨夜のカレー、明日のパン』のメディア展開
早く読めばよかったな、ドラマ化を知ってからでした。
木皿泉さんご自身の脚本で、NHKでドラマ化されていたそうです!(号泣)
読んでれば!観ていたはずなのに!
ちなみに、ドラマは無事(?)に円盤化されました。↓

昨夜のカレー、明日のパン Blu-ray BOX
仲里依紗さん主演、鹿賀丈史さんがギフで…豪華!豪華なメンバー!
あとは、漫画化もされたようです。↓

昨夜のカレー、明日のパン (バーズコミックス)
作画が渡辺ペコさん!
こちらも豪華!もっと早く知りたかった…(涙)
以上、スイカのおすすめの『昨夜のカレー、明日のパン』の感想でした。
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